オリンピック・体操編
一般にアマチュア規定というのは、
プロフェッショナルの反対語として使われます。
スポーツの世界では、
プロよりもアマチュアの方が価値があると
考えられていた時代がありました。
かつてのアマチュアは、
プロよりもずっと金持ちだったのです。
プロとアマチュアの概念が出てきたのは、
近代以降のことです。
19世紀のイギリスでは、
テムズ河で貴族たちがボートレースを行なっていました。
このレースに、職業として船を漕いでいる人々が混じり始めると、
彼らの方が技術も能力も高いので当然勝ちます。
身分の低い者に賞を取られるのは面白くないと考えた貴族たち。
彼らは、「アマチュアでなければならない」
という規定を作って宣言してしまったのです。
アマチュアが何を意味するかといいますと、
「職業を持たない人」です。
要するに大地主のことで、
自分は働かなくてもかまわない人たち、
使用人を屋敷の中に抱え込んで監視していればいい人たちです。
働かなくてもいい人というのは、金持ちにしかいません。
それがアマチュアだったのです。
なので、アマチュア規定というのは、
有産階級が自分たちだけが楽しめるスポーツ文化を
囲い込もうとして作ったものです。
アマチュア・スポーツだけが純粋で最高のスポーツであり、
それ以外のスポーツは邪道であると決め付け、排除したのです。
ケンブリッジ対オックスフォードなどの
学生によるボートレースやクリケットの試合などが、
スポーツの華として美化されていきました。
当然、アマチュア規定なるものは肥大していったのです。
女性は大人になると、女性特有の脂肪がつくので、
体が重くなります。
そのため、平均台でできる技が限定されてしまうのです。
女性選手には、若い時期にいろいろな技を教えてしまった方が
早く覚えられます。
子どもの頃は体重が軽いので、練習中の補助もしやすいのです。
技の感覚を覚えさせるために、
平均台の上で選手を回転させることもあります。
幼いうちに技術を完成させた選手は、
その状態を少しでも長く持たせるために、
成長を止めさせられた時代もあったとか。
旧ソ連の選手は、オリンピック選手村でも、
食堂に来ないことで有名だったそうです。
当時は、医学的な面で批判があったようですが、
現在はどうなのでしょう。
平均台も女性だけの種目です。
ドイツで近代教育を始めたグーツムーツは、
シュネッペンタールという田舎の学校で
体育の授業を教えていました。
彼が教えた内容の中に「丸太橋の渡り方」
という実用術があったそうです。
1790年代のドイツの田舎には、丸太橋がたくさんあり、
冬になると、凍った川に落ちて死ぬような事故がよく起きました。
なので、いかにして安全に丸太橋を渡るかを学校で教えたのです。
これが平均台の始まりだという説があります。
また、昔の船乗りは、大型保線の帆を張る帆桁の上を
移動しながら作業していたので、
丸太の上を歩く道具を作って練習したそうです。
それが平均台になったという説もあります。
平均台のごく初期の頃の競技会では、男子も参加していたようです。
しかし、女子の方が美しく見えたり、技の発展性があったようです。
男子がいくらまねをしても女子のようにできないから、
男子はやめてしまったようです。
平行棒とは逆の現象です。
現在は、美しさはもちろん、かなり激しい演技になっています。
段違い平行棒は女性だけの種目です。
かつては、男子と同じ平行棒で女性も演技していたようですが、
腕の支持力が足りず、技は限られ、単調だったそうです。
女性だからできるもの、女性の特性を生かした演技ということで、
段違いにしたようです。
結果的には大成功で、上下のバーを移動するといった
変化に富む面白い種目になったのです。
体操競技のつり輪というと、
腕の力だけで体を持ち上げたり、
高い位置で弾むように回転する豪快なイメージです。
かつて、つり輪の王者と言われた旧ソ連のアザリヤンは、
ひねり十字懸垂(腕を前後に伸ばした十字懸垂)
などを含む力技で演技の大部分を構成するという、
驚異的な力を見せつけました。
つり輪には、振動を利用した回転技もありますが、
昔は同じ方向に何度も回転すると、
輪をつないでいるロープがねじれてしまう問題があったようです。
その後、ねじれ防止の回転装置がついて、
自由に回転できるようになると、振動数が飛躍的に発展し、
演技の中に多く盛り込まれるようになりました。
最後に降り技がありますが、東京オリンピックに向け、
日本がウレタンマットで一生懸命に練習をしている頃
ヨーロッパでは、ピットという2mくらいの深さの穴に
スポンジやウレタンチップを敷き詰めた設備を導入していました。
こうした日本とヨーロッパの設備面の差は、
技術的なことにも影響を与えたと思われます。
練習環境がものを言うため、
先進国や国家レベルで設備を整え、
強化育成している国が強いです。
床運動や新体操、フィギュアスケートなどの場合、
日本の女子選手は欧米の選手に比べて、
表現力が足りないと言われることがあります。
欧米の選手の多くは、
クラシックバレエをベースに持っていたりしますが、
日本人が勝負できないわけではありません。
東京オリンピックで銅メダルを取った
中村多仁子という選手がいます。
彼女は、クラシックバレエなど習ったことはありません。
国内の大会よりも国際大会の方が成績が良かった
という面白い選手でした。
日本的な手足の動かし方、間の取り方を工夫して、
演技に取り入れたそうです。
外国人の眼には、その動きが東洋的な美しさに見えたとか。
欧米女子は、古典バレエの手足の線の美しさを
体操に取り入れるのです。
どんな民族舞踊であれ、それぞれ美しいのですから、
自分たちの国に伝わるものを取り入れるのは、
実に効果的な方法なのです。
アリーナ・カバエワ/2004アテネオリンピックゴールドメダリスト アリーナ・カバエワの新体操教室
いい選手になると、床運動の演技のパターンを
3つくらい持っています。
演技中に疲労がたまってくると、
最後はどんな技で終わらせようかと考えます。
予定通り難しい技で終わるか、
失敗しないように無難にまとめるか、迷うところです。
床運動に限らず、自由演技の場合は、
どんな技の構成にしてもいいので、
演技中に内容を変えることが可能なのです。
その際に求められるのは決断性です。
また、演技の山場をどこに持っていくかも重要で、
最後に大技をやるのか、
体力のあるうちに難しいものをやってしまうか、
選手それぞれが判断します。
多くは、演技の始まりと終わりがポイントといえます。
出だしで「すごい!」と思わせて、
中盤は、技巧的な技でうまくつなぎ、
最後にまた大技を入れることが、いい点数を演出するのです。
どこまで思い切って大技をやるかが勝負です。
守りに入った演技は審判にも分かります。
決断性の欠ける演技は、原点の対象です。
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跳馬は、演技時間が短い種目なので、
採点では着地の安定性が重視されます。
一番いい着地は、最初に足が着いた位置から
一歩も動かないことです。
ちょっとでも動いたら減点です。
また、スピードもあり、回転あり、高い位置からの着地ありで、
ミスを犯しやすい種目でもあります。
そのため、跳馬では一発屋が現れます。
普段は、すごく上手な選手が着地で動いてしまったり、
それほど実力のない選手がたまたまタイミングが合って、
完璧な演技をすることもあるのです。
逆に、あん馬は着地ミスの可能性も少ないので、
実力通りの結果が出る種目です。




